移住支援というと、補助金や住宅支援など、金銭的な制度を思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、そうした支援も大切です。
ただ、実際の移住では、お金の問題だけでなく、町のことを知るきっかけ、相談できる相手、実際に訪れる機会、移住後に孤立しにくいつながりも同じくらい重要だと感じています。
私は、地域おこし協力隊時代から移住支援に関わり、現在は岩内町の地域プロジェクトマネージャーとして活動しています。
このブログ自体も、もともと北海道への移住希望者や、岩内町に移住してきたばかりの人に向けて書いてきたものです。
この記事で書きたいのは、町の制度を一覧で紹介することではありません。
移住を考えた人が、岩内を知り、少し気になり、相談し、実際に来てみて、移住後にも地域とつながっていけるように、どんな接点を整えてきたのか。その流れを書いてみたいと思います。
まず全体像
岩内への移住を考えたとき、必要な接点は、だいたい次のような流れになります。
| 段階 | どんな時期か | 主な接点・取り組み |
|---|---|---|
| ① 関心期 | まず岩内を知る段階 | Instagram、ブログ、移住情報発信、移住フェア |
| ② 検討期 | 少し気になり、話を聞いてみたい段階 | オンライン移住相談、移住フェア、交流会「iwaloop palette」 |
| ③ 準備期 | 実際に来て、見て、考える段階 | 現地案内、おためし移住住宅、地域との接点づくり |
| ④ 初期 | 暮らし始めて間もない段階 | LINE公式アカウント「魅力発見アッ!とiwanai」、iwaloop palette |
| ⑤ 定着期 | 地域との関わりが少しずつ広がる段階 | IWALOOP、iwaloop palette、役割づくり、地域活動への参加 |
これは町の正式な制度名ではなく、私が現場で必要だと感じて整えてきた支援を、入口から定着まで流れで見えるようにしたものです。
1.まず岩内を知ってもらうために
岩内は、北海道の中でも、黙っていて移住先として選ばれる町とは言いにくい面があります。
だからこそ、最初に必要なのは、町を知ってもらうことです。
町には移住フェアや移住情報サイトのような既存の取り組みがあります。
でも、それだけでは町の空気や暮らしの感覚までは伝わりにくいとも感じてきました。
そこで私は、Instagramやブログを通じて、岩内の日常や景色、暮らしの雰囲気が少しずつ伝わる入口も整えてきました。
制度だけを見て移住を決める人は多くありません。
どんな景色があり、どんな空気があり、どんな暮らしがあるのか。
そうしたことが見えて、初めて「少し気になる町」になるのだと思います。
関連記事:「岩内町に移住した人から聞いた話が私に似ていました…」では、このブログが誰に向けたものか、自分の価値観と岩内に合う人の感覚について書いています。
2.相談や交流の入口をつくるために
少し関心を持ってもらえても、その次に動ける入口がなければ、そこで止まってしまいます。
そのため、移住相談、オンラインでのやり取り、移住フェアに加えて、交流会「iwaloop palette」のような場も立ち上げてきました。
移住を考えるときに必要なのは、制度の説明だけではありません。
どんな人が住んでいるのか。
自分が入っていけそうな町なのか。
そうした感覚も大切です。
移住者が困らないように、これまでいくつかの取り組みを重ねてきました。
その一つが毎月続けてきた交流会です。もともとは「移住者お話会」として始め、有志の協力を得ながら、今は「iwaloop palette」という形に育ってきました。
関連記事:「岩内町の移住者交流会『移住者お話会』は交流会『iwaloop palette』へ」では、その流れをまとめています。
3.実際に来てみるきっかけをつくるために
移住は、画面の情報だけでは決められません。
町の空気、距離感、生活のしやすさは、実際に来てみないとわからないことが多いからです。
そのため、現地案内やおためし移住住宅、地域との接点づくりを、単発ではなく「次に進むための機会」として考えてきました。
観光で見る町と、暮らす目線で見る町は少し違います。
どこで買い物をするのか。
人はどんな場所に集まるのか。
冬の暮らしはどうか。
そうしたことは、一度来てみることで具体的に見えてきます。
実際に、町内案内では、希望を聞きながら訪問ルートを考え、日常的な町の雰囲気も含めて見てもらうようにしてきました。
関連記事:「北海道移住を検討中の方へ!北海道岩内町では町内案内(移住体験)もしていますよ」では、その具体例を書いています。
4.移住後に孤立しにくくするために
移住支援は、移住する前だけのものではありません。
むしろ、暮らし始めてからのほうが不安が出やすいこともあります。
知らない土地で生活が始まると、
「誰に聞けばいいのかわからない」
「ちょっとしたことを相談する相手がいない」
「知り合いが少なく、地域との接点がまだない」
ということが起こりやすくなります。
そこで私は、LINE公式アカウント「魅力発見アッ!とiwanai」や、交流会「iwaloop palette」のような、強すぎない接点も整えてきました。
LINE公式アカウント「魅力発見アッ!とiwanai」は、岩内町移住者をつなぐことを目的に2020年から運用しているもので、生活情報やイベント情報を届け、連絡を取りやすくするためのものとして書いてきました。
関連記事:「岩内町移住者向けLINE公式アカウント『魅力発見アッ!とiwanai』のこと」もあわせてご覧ください。
補助金のように目立つ支援ではないかもしれません。
でも、移住した直後に「完全に一人ではない」と感じられることは、暮らし始めの安心感に大きく関わると思っています。
5.その先に、地域に関わる人を増やすために
移住支援は、定着したら終わりではないと考えています。
暮らしが少し落ち着いた人が、今度は小さく地域に関わったり、交流会を手伝ったり、これから移住を考える人の話を聞いたりする。
そうした流れができると、移住者はずっと支えられる側のままではなく、少しずつ支える側にも回っていけます。
その受け皿のひとつとして整えてきたのが、有志グループ「IWALOOP」と交流会「iwaloop palette」です。
iwaloopは、移住してきた方から聞いてきた「少し寂しい」「仕事以外の知り合いがいない」「もっと地域の人と関わりたい」といった声を受けて、人との出会いや地域との関わりを生み出す場が必要だと感じて始めた取り組みです。
関連記事:「北海道・岩内町で“つながる暮らし”をめざす|移住者&地域プロジェクトマネージャーが立ち上げた iwaloop の輪に、あなたも加わりませんか?」では、そのきっかけを書いています。
大げさな役割でなくてよいと思っています。
小さな参加や小さな関わりが増えることで、結果として地域との距離が近づいていく。
そして、その人の存在がまた次の移住検討者の安心にもつながっていく。
そうした循環をつくることも大切にしてきました。
今はまだ小さな循環かもしれません。
ただ、岩内を知った人が相談につながり、実際に訪れ、移住後に地域とつながり、その人が今度は次の移住希望者や新しい移住者を支える側にも少しずつ回っていく。
そんな流れが大きくなっていけば、岩内の移住も、単発ではなく、地域の中で育っていくものになっていくのかもしれません。
地域プロジェクトマネージャーとしてやってきたこと
ここまで書いてきたように、地域プロジェクトマネージャーの仕事は、何かひとつの制度だけを担当することではありません。
既にある取り組みを生かしながら、足りない接点を見つけ、必要なものを立ち上げ、形にし、運営し、単発で終わらず続いていく流れに整えていく。
それが、岩内で移住支援に関わる中で私がやってきたことです。
地域プロジェクトマネージャーという仕事は、外から見ると少しわかりにくいかもしれません。
でも、岩内でやってきたことを一言で言えば、移住を考える人が、知るところから地域との関わりまでつながっていける流れを整えてきたということです。
岩内への移住を考えている方へ
岩内への移住をまだ決めていなくても、少し気になっている段階で大丈夫です。
いきなり大きな決断をするのではなく、まずは町のことを知ること。
それから、必要なら少し話を聞いてみること。
実際に来てみて、自分に合うかを考えること。
移住は、そうやって少しずつ進むものだと思います。
その途中で、岩内が安心してつながれる町のひとつとして見えてきたらうれしく思います。


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