「何もないこんな町に移住したい人なんかいないよ」

田舎町の人からよく聞く言葉ですが、最近この言葉に違和感を持っています。

なぜ違和感があるのか?

結論からいうと何もない町でも人口が増えている町があるからです。

東京23区内にも何もない地域がある

「何もない」という言葉は曖昧な言い方ですね。

もう少し具体的にしてみます。

「何もないこんな町に移住したい人なんかいないよ」と言う人の

「何もない」という言葉の意味は、「デパートがない」、「行楽施設(レジャー施設)がない」、「観光スポットがない」、「病院がない」、「学校がない」というようなことを言っているのだろうな、と私は想像します。

その基準で考えた場合、東京23区内にも「何もない町(地域)」はあります。

生まれ育った地域周辺には何もない

例えば私が生まれ育った地域。

実家がある場所周辺は東京23区の中の一地域。

自宅から1km以内と考えると、デパートもレジャー施設も、観光スポットも、大病院も高校も大学もありません。

ついでに言えばチェーン店のカフェもありません。

2kmで高校、3kmで駅ビルや中規模の病院があるという感じです。

2km、3kmは北海道では「近い」というイメージかもしれませんが、東京では遠いです。

なぜなら、町中に道路が通っているので交差点だらけです。

信号機も多いし、道路は狭い上に車や人の往来が激しくて、進むには結構時間がかかります。

ぎっしりとマンションが建ち並ぶので先が見えず、圧迫感もある。

歩きでも車でも時間がかかるのです。

そう考えると、子供や老人が日常生活をおくる範囲はまさに「何もない」状態です。

ちなみに私が東京に住んでいた当時(15年前)借りていた駐車場の料金は月2万5千円です。

都内は車移動が不便な上に維持費がとても高いので車を所有しない人も多いです。

岩内町と生まれ育った地域との比較

岩内町市街地との比較で自分の生まれ育った地域を考えてみます。

お店は岩内町の方が多い。そして商店街も岩内町の方が広い(笑)

岩内町には道の駅や美術館、文化センター、郷土館といった施設もあります。

図書館が立派で私鉄の駅があるのは、実家周辺の方が勝っていますが、それ以外の施設は岩内町の方が揃っていると感じます。

病・医院も同じくらいの数だと思います。

あ、実家周辺は下水道は全て通っていますね。そこは実家周辺の方が勝っています。

働く場所がない

働く場所がないというのも田舎町でよく言われますが、私の小、中学校の同級生が近所で働いているかというとそうではありません。

田舎町と呼ばれる地域と同じように、「仕事があっても働きたい仕事はない」という状況があります。

例えば私は電車と徒歩で1時間半ほどかけて通勤していた時期がありました。

何もない町ということでいうならば、私の実家の生活圏も何もない町なのです。

でも実家の周辺は高層マンションが建設されて人口が増え続けています。(転入が転出を上回っている)

「何もない町」だから移住者が来ないのか?

実家周辺のことを思い出すと、「何もない町」なのに人口が増えているのです。

もちろん、生活圏だけで考えるのではなくて、もっと広い範囲で考えれば様々な施設はあります。

でも北海道の田舎町とは違って20kmくらいしか離れていない場所に行くにも東京では意外と大変なのです。

歩きと電車の乗り継ぎで行くと大体1時間くらいはかかるでしょう。

しかも駅の乗り継ぎもアップダウンが激しいので、田舎町の生活に慣れた人からすれば、「こんなところ歩きたくない」と思うような感じ。

東京の移動は結構大変なのです。

田舎町でも同じように大変な移動をすれば、施設の整った大きな市に行けてしまうことも多いでしょう。

このように考えていくと、東京の実家周辺も田舎町と言われる場所も「何もない町」という点で大した違いはないのです。

ということは、「何もないこんな町に移住したい人なんかいないよ」という言葉は間違いなのではないかと感じます。

移住者が多い「何もない町」は何が違うのか?

「『何もない町』にも移住者は来る」という結論に至ったので、今回のテーマは完結です(笑)

でも、なぜ「何もない町」にも移住者が来るのかということも少し考えてみたいと思います。

これは私が考えてわかるようなことではありませんが、いくつかあげてみたいと思います(笑)

1、東京に住むというブランドイメージ

2、なんでもあるというイメージ

3、都心部に住めないので仕方なく妥協して移住した

4、生活圏には「ない」けど移動できる範囲には「何でもある」という安心感

5、とりあえず人が多いところで生活した方が将来的にも不安が少ない

なんとなくですが、私の考えたのは上にあげたような感じです。

思いつくまま挙げてみただけですが、もしこれが当たっているとすると、はっきり言ってしまえば、実体のないのないただの良いイメージ的なものが多いです。

逆にいうと人気のない田舎町は実態にかかわらずイメージが悪いということもいえるのかもしれません。(人気のある田舎町はイメージの良い町が多い気がします。)

まとめ

「何もない町」に移住者は来ないのか?という点に絞って自分なりに考えてみました。

考察の足りない部分は多々あると思いますが、「何もない町」(今回挙げた基準でいう「何もない町」)にも移住者は来ます。

自分の町は「何もない町」でも、隣の町にはあるということもあるでしょう。

自分の町単独で考える必要はないと思います。

すぐ近くにあるのなら、自分の町にあるのと違いはありません。行政上の区画なんて生活している人からすればあまり意味がないことも多いので・・・。

それに、前提を覆すようですが、私の実家周辺のように、最初に挙げた基準でいう「何もない町」でも移住者は来るのですから、その基準が移住したくなる町に必要な全ての要素だとは思えません。

そのような基準をもとに「何もない町だから移住者が来るわけない」ということはできないでしょう。

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