岩内町では2024年度も地域おこし協力隊員を募集しています。
募集しているのは下のような人たちですが、私の考える地域おこし協力隊員として向いている人についても付け加えて書いておきたいと思います。

2024年度に岩内町で募集している地域おこし協力隊員

現在、岩内町では4人の地域おこし協力隊員を募集しています。

○移住定住コーディネーター
○自己提案型地域おこし協力隊員
○観光振興に係る地域おこし協力隊員
○地域協働支援員

それぞれの地域おこし協力隊員についての募集要項は岩内町のホームページに記載があります。
https://www.town.iwanai.hokkaido.jp/?page_id=39357

私が考える地域おこし協力隊員に向く人向かない人

「地域おこし協力隊」と聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
名称だけでイメージを持ってしまうと、実態は全く違うと感じてしまうことも少なくないでしょう。

「地域おこし協力隊」は、総務省が行っている取組です。

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。

 具体的な活動内容や条件、待遇等は各自治体により様々ですが、総務省では、地域おこし協力隊員の活動に要する経費に対して隊員1人あたり520万円を上限として財政措置を行っています。また、任期中は、サポートデスクや都道府県ネットワーク等による日々の相談、隊員向けの各種研修等様々なサポートを受けることができます。任期終了後の起業・事業継承に向けた支援もあります。

引用元 総務省ホームページ 2024年5月30日

総務省のホームページには上のような説明が記載されています。
説明文の中にもあるように、一定の基準はあるものの、実際には自治体によってかなり運用に差があると感じます。
そのため地域おこし協力隊員が行っている活動にもかなり違いがあります。
地域の情報発信を担当する隊員や事業継承のためにそのお店の中で修行している隊員などもいて、活動や求められるスキルも様々です。
また、自治体担当者によって活動が左右されることがあるというのが現実で、自治体の人事異動によって活動に影響があることも少なくありません。

そういった点はあるものの、総務省のホームページにあるように、

都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組

であることが前提となるので、地域おこし協力隊員になろうとする人には、一定の心構えのようなものは必要だと思います。

岩内町のホームページの地域おこし協力隊募集ページ(https://www.town.iwanai.hokkaido.jp/?page_id=39357)に求められる「人物像」という項目があります。
基本的にはこの通りだと思うのですが、ミスマッチをなくすために、私からも補足的に、私が考える地域おこし協力隊に向く人と向かない人について書いてみたいと思います。

地域おこし協力隊員採用の現実

先に書いたように、「地域おこし協力隊」というのは自治体によって運用の仕方にかなり幅がある制度になっています。
そのため、各自治体の募集要項をもとに、どのような活動を期待されているのか考えなければいけません。
「地域おこし協力隊」という名称のイメージだけでは、募集する側、応募する側、一般の町民の方、それぞれ考えている地域おこし協力隊員像が大きく異なってしまうでしょう。

「募集要項をよく読んでいませんでした」
信じられないことですが、採用されてからこのように言う隊員がいることも事実。
(そもそもそういう人がミッションを遂行できるのかという疑問はありますが・・・)

そして、採用した自治体側も、
「知っていると思っていた」
ということで面接段階で説明していないこともあります。

これ以外にも、公務員を経験したことのない人にとって、公務員の文化?というのは想像を超えるものがありますし、その逆に公務員からは信じられない民間の考え方もあるでしょう。
このような理由から地域おこし協力隊員のミスマッチというのは多くの自治体で起こっているのではないでしょうか。

岩内町の地域おこし協力隊員募集について

2024年度の岩内町の地域おこし協力隊員の募集についてみてみましょう。
https://www.town.iwanai.hokkaido.jp/?page_id=39357

職種ごとの人物像などを読んで感じるのは以下のようなこと。
遂行能力、地域とのつながりをつくるコミュニケーション能力や地域の問題について外部目線での分析能力と問題解決能力が重視されています。
一方で、地域おこし協力隊員同士の横の連携については触れられていません。

これは実は珍しいことではなく、ほかの自治体ではもっと極端なところもあります。
「(ほかの隊員が)着任したことは知っているけど、話したことがありません」、
「○人いるらしいけど、会ったこともありません」、
このように話す地域おこし協力隊員と出会ったことがあります。

他方、自分のミッションとは別に、隊員間の連携や地域への協力思考が必要だという内容を募集要項に明記している自治体もありますし、こういった人物像について何も触れられていない自治体も多くあります。

この点からも自治体ごとに考え方が違うことがわかると思います。

私が考える地域おこし協力隊像

自治体の考えや実際に協力隊員として活動している人の思いは様々だと思いますが、私が個人的に考えている地域おこし協力隊員像も書いておきたいと思います。(正解不正解というのはないので)

といっても、私も岩内町の募集要項に記載している人物像にほぼ賛成です。
目標に向かって計画を立てて、しっかりと遂行する能力は必要です。
一般企業だっていつまでも実績の出せない人間は必要ないと判断されることだってありますよね?

言われたことだけやっていて、「自分のミッションは終わりました」というのも違うと思います。
足りないことを見つけてチャレンジすることが大前提の職種だと思っています。終わりはありません。
終わっているならすでに世界一の素敵な町になっているはずでしょう。

期待する人物像にあるように、
地域に馴染みながらも、それだけではいけません。
そもそも、よそ者目線で「今」その地域に必要なこと、足りなかったことをプラスするために任務を与えられているので、地域にどっぷりはまって外部目線が抜けてしまっても着任した意味がありません。

改善すべきは改善すべきとして変えていくことを促し、チャレンジすることが必要ですが、それが地域の人の誤解を招くような性急な方法ではいけません。
地方には地方の事情として、そうなるべくしてなった歴史と現実があるのです。

「自分は間違っていないのに、周囲の人は何もわかってくれない」

と自分の正義だけを振りかざして周囲の無理解のせいにしてみても何の解決にもなりません。

地域おこし協力隊員の任期は最長で3年。
その中で結果を出そうとすると焦ることはわかりますが、結果的に何も進まなければ意味がありません。

まずは目的に向かって少しでも前進させるためにどう振る舞うのが適切かを考えるべきではないかと思います。
そういった点からも、
本当に町のために何かをしようと考えたら、ほかの隊員とも目指すものが同じになることがあるはず。
隊員同士で馴れ合う必要はないと思いますが、結果的に同じ目的に向かって連携する必要が出てくるのではないかと思います。
協力隊員同士の連携のための協調性も必要でしょう。

あとは、精神的なタフさも必要でしょう。
町の中で、顔出し名前出しで活動します。
見ている人は見ています。
都会から何も知らない田舎町に移住してきた隊員をほとんどの町民の方が応援してくれますが、中にはそうでない人もいるでしょう。
他人からどんな誹謗中傷を浴びたとしても動じない精神力も必要かもしれません。
耐えられずに病んだり途中退任したりしてしまう人も少なくありません。(そこまで言われてこんなところいたくはないよ!という人も含めて・・・)

岩内町はどんなところ?

このブログの色々なところで書いているのでそちらを見てもらえばわかるのですが、
函館や小樽ほど有名ではないにしても、江戸時代から和人が生活し、経済的にも文化的にも栄えた歴史を持つ町です。

そういった理由からか、絵画などの文化的な活動に関心を持つ人が多く、人間的にも個性的な人たちが多いと私は感じます。

岩内港とニセコ連峰

水洗トイレが普及していないし、中心街に駐車場が少ない件は私の納得いかないところですが、
反面、手つかずの自然が残っていたり海とニセコ連峰に囲まれた独特の地形を持っていたりと、自然が好きな人には癒やされる空間でしょう。

雪景色のウエンドマリの絶壁

夕焼けも綺麗ですよ。

自然が多くなれば生活するには不便になるものですが、岩内町周辺ほぼ半径1キロ圏内に近隣地域の人が買い物に訪れるだけのお店があり、日常生活で困ることはありません。
そういった点でバランスの取れた町でもあります。

都会の淡泊な人付き合いでは満足できず、かつ、自然豊かな環境が好きでそこそこ便利な町なら安心という方にとって、岩内町は大変魅力的な地域でしょう。

まとめ

「自分のやりたいことをやるために地域おこし協力隊員になります」という人がいます。
都会でできなかった自己実現を田舎暮らしの中でかなえてくれればいいなと思います。

ただ最近感じるのは、
「町(の人)を盛り上げるために自分を利用する」
よりも
「自分を盛り上げるために町(の人)を利用する」
という方に偏っていてバランスがとれていない人が多い気がします。

いい悪いはないし、正解はないのかもしれませんが・・・。
町に興味なく、町の人たちに興味なく、ただ自分のために働くのであれば、普通に就職したらどうでしょうか。地域おこし協力隊員になる必要はありません。

はっきり言って田舎は都会に比べて相当に給料が低いですよ。その上生活費も高い。
都会に比べて商売を成り立たせるだけの収益を得ることも難しいし、人付き合いだって濃密で面倒なこともあります。
そこまでして、都会の会社員を捨てて田舎で生活したいという人がいるならば、相当な覚悟の人なのだろうと思いますし、志の高い方なのだろうと思います。
実は私も、某移住支援団体に相談に行った際に、「(地域おこし協力隊は)今の仕事を捨ててまでやるような仕事ではないですよ」と止められたことがあります。
尊敬できるような志を持って地域おこし協力隊員になった人を何人も知っていますが、現実的にはそこまで考えていない人も多いでしょう。

地域おこし協力隊員に応募する人たちの理由は様々です。
「自分の好きな地域を盛り上げる人間になりたかった」、「都会暮らしが合わなかった」、「就職先がなかった」
理由はどうでもかまいません。
しかし、なったからには、「『地域協力活動』を行いながら、その地域への定住・定着を図る」という前提で契約し活動しているということを忘れないでもらいたいと思います。

私もそれなりに色々な立場で仕事をしてきた人間です。(【個人的日記記事】甘いと言われ続ける人生)2024年の岩内町地域おこし協力隊募集に対して、自分なりの思いを持って岩内町地域おこし協力隊員になられる方がいましたら、私もサポートさせて頂けたらと思っています。

ちなみに、AI(チャットGPT)に地域おこし協力隊に必要な資質について尋ねてみると下のように回答してくれました。
どこに行ってもどんな仕事をしても成功するような立派な資質ですね(^^)

質問:地域おこし協力隊に必要な資質について教えてください

回答:GPT-4o(オムニ)から

地域おこし協力隊(ちいきおこしきょうりょくたい)は、地方自治体が地域の活性化を目的として都市部から地方に移住してくる人材を受け入れる制度です。この制度に参加するために求められる資質は多岐にわたりますが、以下に主要なポイントを挙げます。

1. **コミュニケーション能力**: 地元住民や他の協力隊員、自治体職員との円滑なコミュニケーションが求められます。地域の課題やニーズを正確に把握し、協力し合いながら解決策を見つける能力が重要です。

2. **柔軟性と適応力**: 地域ごとに異なる文化や習慣、生活環境に対する理解と適応が求められます。予期しない状況や変化に対して柔軟に対応する力が必要です。

3. **自主性と行動力**: 地域おこし協力隊員は自ら課題を見つけ、自主的に行動することが期待されています。自分で考え、計画し、行動に移す力が求められます。

4. **協調性とチームワーク**: 他の協力隊員や地域住民との協力が重要です。協力し合い、チームとしての成果を追求する姿勢が必要です。

5. **地域愛と共感力**: 地域の魅力や価値を理解し、愛する心が求められます。また、地域住民の思いや立場に共感し、一緒に問題解決に取り組む姿勢が大切です。

6. **持続可能な視点**: 地域おこし活動が一過性のもので終わらないよう、持続可能な発展を目指す視点が重要です。長期的な視野に立って活動を進める力が必要です。

7. **専門知識や技術**: 農業、観光、IT、マーケティングなど、地域のニーズに応じた専門知識や技術を持っていると、活動の幅が広がります。

これらの資質を持つことで、地域おこし協力隊として効果的に活動し、地域の活性化に貢献することができるでしょう。