岩内町で起業している方とビジネスについてお話しする機会があったので、私が役に立つと思った成功例発表について書いておきたいと思います。
再現性があってこその成功例発表です。
問題点のわからない成功例発表って聞いている人にとってはあまり役に立つものではないと考えています。
どんな問題があってどうやって解決したのかが成功例発表の必須項目
もうかなり前のことなのではっきりとは覚えていませんが、前職では毎月成功例の提出が求められる時期がありました。
個人で提出した成功例は、課の中で選別され、その後は支店の成功例として選出され、最後には本社で成功事例として取り上げられて、全国に共有されていました。
成功例発表提出用のシートにはテンプレートがあります。
その項目には、「どんな壁にぶつかったか。その問題をどうやって解決したか。」といったことを記載する項目がありました。
これは必須項目です。(念のため付け加えておきますが、紙で提出することは絶対にありません。社内アプリ以外を使用する必要がある全ての提出物が全世界にある事業所共通の禁止事項です。効率化が前提なので、パフォーマンスを落とす取り組み自体が許されません。)
いやいや、成功したんだから問題なんてあるわけないでしょ!
なんて思っていたら一生提出できません。
問題点に気付くことが成功へのスタートラインに立つこと
どんな壁があって、どうやって乗り越えたか。
そういう項目が必須項目になっている意味を、若い頃はわかっていなかったです。
シートを記載しながら、「問題点なんかなくて成功したけど?」と思ったこともありました。
でも、歳を重ねてくると違うことを考えるようになりました。
問題が起きて文句ばかり言っている人をみると??と思うようになったのです。
世の中そんなに甘くないですよね?仕事ってそんなに甘くないですよね?(笑)
何をやるにも「問題があって当たり前」ということがわかってきたのです。
100回やって問題なく100回ともうまくいく人はいないでしょう。
私の感覚だと20回でも問題が起きずにうまくいく人はいない。
私自身のことで言えば毎回問題が起きる(笑)
今となってはそういう感覚です。
問題点とは、失敗してきた経験の場合もあります。
日々問題が起きてそれをどうやって解決するかの繰り返し。それが年長者としての腕の見せ所です。経験の浅い人間には負けないぞ、とかえってやる気が出るくらい(笑)
問題が起きて当たり前なので、
もし問題がないと感じているなら、それは「よっぽどの幸運に恵まれた」かあるいは、「問題に気付く力を持っていない」のどちらかの可能性が高い。経験不足が原因。
だと思います。
ちなみに、私が今回ビジネスについてお話しした岩内町の方は、「問題に気付く力」がとても鍛えられている方で、常に問題解決をビジネスに結びつけようと考えている方でした。
話を戻します。
何をやるにしても、問題があるから自分の望む結果になっていないだけです。
問題がなければ、すでに望む理想の状態になっているはずです。
自分の理想の状態になっていないのは、そこに何らかの問題があって、それを取り除く行動を起こしていないだけ。物事なんてシンプルです。
起きていることを分析でき、問題に気付けなければスタートラインにも立てません。
運に頼っているだけではいつ解決できるかわかりません。
庭に朝顔を咲かせたければ、種が風に飛ばされてくるのを待つのではなくて、自分で朝顔の種を買ってきて埋めた方が早い。それだけのことです。
組織の役に立つ再現性のある成功例発表
何をするにしても問題が起きることが当たり前です。
それを考えると、多くの人が日々問題に直面している。
しかも、同じ世界で生活しているのだから同じ問題にぶつかっているという人も多いはずです。
それが同じ会社、同じ職種の人であれば、なおさらです。高確率で同じ壁にぶつかります。
そういった点から、仕事の目標達成の役に立つのが同じ立場にある人たちの成功例です。
その成功例発表に、問題点やその問題をどうやって解決したのかが入っていなかったらどうでしょう?
成功例を共有する意味がないと思いませんか?
その成功者を出した組織ということで、晴れ晴れとした気分になるかもしれません。
成功者も周囲の人や組織の中での評価を上げることで、さらに仕事を頑張れるかもしれません。
でも、企業の持続的な成長や組織の成長のためには、そんなことよりも、そのほかの従業員が同じような問題を解決して、目標を達成するための役に立つことの方が大事だと私は思います。
同じような問題を抱える従業員が、成功例の経緯を知り、自分が気付いていなかった問題点に気付くことで仕事が前進したり、同じ問題を解決できたり、そういった再現性を持つ成功例発表の方が組織の持続的な成長にとって重要だと思うのです。
まとめ
ただ成功したことを発表するだけの成功例発表も、士気を上げるとか、組織の評価を上げるという点では意味があるかもしれません。
でも組織の中で共有する成功例発表は、問題点やその解決策があった方が、自分のために役立つ成功例だということを、聞く側としては感じます。
私もいくつか本社で取り上げてもらった発表がありましたが、自分でしっかり分析してそれまでの活動の問題点を洗い出し、誰でもできるやり方で解決できた事案で、再現性の高いものだったと感じています。
もちろんそこには、他の人たちの成功例を参考にして真似た内容も含まれます。そうやって、共有された成功例が次の成功をもたらすことこそ意味があります。
付け加えるなら、もし、そもそも問題が起きずに成功したという発表内容であるなら、それは幸運なだけの一発屋の可能性が高いので、あまり組織の成長の役には立たないでしょう。
そのように思います。